「たんぽぽ」(自治労連上尾市職労女性部機関紙)平成13年5月号より
私の趣味・特技
野原初美さん(市民課) 「マジック」
子ども時代の野原さんは、出生時の股関節脱臼による障害を気にして、暗くてわがまま、両親も腫れ物に触るように接していました。高校2年生の夏、入院先の病院で、両親にわがままばかり言う彼女に「身体の障害はしかたない、でも、心の障害でみにくくなるな」こんな言葉を掛けた人がいました。現在のマジックの師匠との出会いです。「そうか、障害があったってこれが私なんだ、いいじゃないか」けっしてやさしい言葉ではないけれど、この一言のおかげで、野原さんは初めて自分を受け入れることが出来ました。
以来野原さんは師匠の公演に同行し、マジックの手ほどきも受けました。初めて舞台に立ったのは23歳の時。それまで(障害を気にして)人前に出ることを極力避けていたのがウソのようにライトを浴びる事が快感でやみつきになりました。
嬉しかったこと
今では「全国アマチュア奇術を楽しむ集い」で日本一になるほどの腕前で、子供会や老人会、入所施設と年間約60公演と大忙しです。中でもマジックをやってきて良かったと実感した忘れられない出来事が2つあります。一つは準備段階から待っていてくれたおばあさんに「楽しかった、また来てよ」と涙を流しながら言われたこと。もう一つは身障者の人が動かせる部位を使って喜びを表現してくれたことです。
夢・ゆめ
自宅にマジック部屋まであり日々練習を重ねる野原さんに夢を話してもらいました。「子どもの頃から病弱でいろんな人達の世話になったから、ボランティアでお返しがしたいと思ってたの。もっといろんな施設を訪問してマジックを楽しんでもらいたい。だって健康な人はどこにだって自分で行けるでしょ、施設から出られない人や自分だけじゃ動けない人にこそ楽しんでもらいたい。」職員間ではあまりにも有名な野原さんのマジックですが、始まりはちゃんとタネもシカケもありました。野原さんの明るさは、自分にマジックをかけたせいかもしれません。
※野原さんの所属するマジッククラブでは、毎年9月に発表会を行います。今年は9月9日(日)会場は福祉会館です。また、日程さえ合えばどこにでも行ってくれるそうです。ぜひお声掛けをお願いします。
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